週一の休みだけど、猛暑に負けて、ウダウダ過ごす週末...
昔々?…レースの仕事をしていた頃の話…をチョット... バブルの初めの頃…モータースポーツを楽しむ個人が多く、ラリー・ダートラショップに勤めていた自分は、個人客のTOYOTA KP61スターレット・TOYOTA AE86レビン・トレノ のプロダクションレースを担当していた。 1986年のAE86プロダクションレース…「残り3戦を上位3位以内に入賞すれば、シリーズチャンプを獲れるドライバーの車両を看てくれないか」と車両を持ち込まれ、エンジンの組み換え…ミッションのオーバーホール、デフのオーバーホールすることになる大仕事だったけど、残り3戦3位内に見事入賞! 一戦走り終える度にエンジンのオーバーホール...単純にオーバーホールなのだけど、4台分の新品ピストンとコンロッドの中から軽くて重量差が少ない物を選びスペアエンジンまで組み、クランクシャフトも数本の中から、クランクプーリー、フライホイールを組んだ状態での動力バランスの良いものを選び、デファレンシャルLSDの点検、イニシャルトルクを調整したり、気の休まること無い数ヵ月だったが、この結果に喜びを覚えたレースだった。 最終戦では、1位!優勝! 2位とポイント差が少なくレース終了後、クレームを付けられ富士スピードウェイピット内でエンジン・シリンダーヘッドを下ろすことになった… 3番4番シリンダー内壁面は焼き付き、ピストンがカジリついてもおかしくない状態で、コースをもう一周あのペースで走っていたらリタイヤしていたかもしれない状態だった。 その状態を見て、クレームを付けてきたチームも納得した。 次のレースは、「グループAクラス」 車両は TOYOTA AE86レビン 持ち込まれた車両は既にグループA車両...プロダクションレースとは違い、エンジンの排気量は変えずに、ピストンは軽量、ハイコンプレッション、それぞれの重量バランス、クランクシャフト、フライホイール等を組み合わせた状態での動力バランスをとり、ミッションは、サーキット別にギア比を考慮したもの3器を組む。デフは、ドライ&ウェットタイヤそれぞれスリップ比を変えたものを…ほぼ車2~3台分をオーバーホールする事になり、ブレーキの強化、サスペンション、ドライバーのタイムアップに繋がるアライメントの変更、消耗部品の点検交換etc…次のレースまで3週間…予選通過という課題もある… サーキットは「筑波」300km耐久レース! この頃、ラリーからプロダクションレースに転向するドライバーが増えていた…ラリー主催側がコース速度を一般道を使用するにも関わらず、指定法定速度を越える設定でコースの申請をしたとかで、天下のJAF?が一般道使用競技を禁止した時期があった。 この為か?筑波の最終コーナーをドリフトして抜けてくる車が多く、そんなヤンチャな連中と走る耐久レースだった。 グループA車両となると、燃料の給油方法もクイックチャジャーというものを装備し、ピットクルーも作業に手間取りながらも、無事完走! なかなか面白いぞ!耐久レース!…これに味をしめて、世界選手権タイトルが掛かっている「インターテック」なるレースに出ることになる…うちらはタイトルとか関係ないんだけど、何故かクラスも様々な混走レースだった。 この車両が、グループAクラスに仕上げた AE86レビン ドライバーは、この年プロダクションレースAE86シリーズチャンプ 「ナカノ ヒサシ」 このレースに出場されたドライバーを、チョコットだけ紹介…顔出しはヤバイかな? タカハシクニミツさんとか... セキヤさんとか… スズキアグリさん、ワダタカオさん…とか… イワキコーイチさん…とか… オカモトカオリちゃん…とか… ドリキンツチヤくんとか... 前座レース?では、ゴルフポカールレースに、イナガキジュンイチさん…他にも芸能系の人がいたっけな… 富士スピードウェイには、レース前日早朝から入り、予選前の整備・テスト走行(オラが乗ります)・練習走行で車両のセッティングを済ます… そして予選…3回のタイムアタック…2回目のタイムアタックで予選を通過出来そうなタイムを出し、3周目で右のドライブシャフトが折れた… ドライバーの好みで、デフをロックした状態で走らせたのがマズかったのか…? 早々にピットで、明日の本戦のために作業を始める…予選通過をできると信じて… ピットでジャッキアップをし、リアホイール、ディスクブレーキを外してドライブシャフトを抜く… プロペラシャフトを外し、デファレンシャルAssyを外してLSDの調整をするのだが、ディスク面に相当焼きが入っている…ヤバいリペアパーツが無い… 明日の早朝現地入りする予定の仲間に連絡を取り、本日中にリペアパーツを持ってくるように指示… 電話を終えた頃、予選通過できたと朗報が届く… 部品到着まで他の整備を終わらせて…ドライバーからタイムアタック中にクラッチの操作フィーリングと、4速へのシフトが重いと指摘され、ミッションまで下ろすことになる…クラッチは、フライホイールの接触面の焼きを落とし表面を清掃する。 シフトは、クイックシフトのブッシュの交換で済んだ…この作業を終えた時刻は18時を過ぎていた…パーツの配達を頼んだ仲間も到着。 一服して飯食ってから、デフのオーバーホールにかかる。 この頃は、ポケベルどころか、携帯電話も無くサーキット内の公衆電話まで走り、誰かの自宅の留守番電話に伝言を残し、その留守電録音をチェックして…という連絡技?が有効だったな。 そんな連絡方法で、持ってきてもらったパーツでデフの調整(本戦はスポンサー的?ドライバーが2人増えるので)…凡人?でもコントロールできる位にセッティングし、耐久レースなので勝利より完走を目指す! 作業に手間取り時間も20時を過ぎた頃、ピット内の照明が消えた…20時で電源を落とされてしまった。 ポータブル発電機を持ってきていたので、なんとか作業も済ませ、富士スピードウェイのピットで車中泊で翌朝を迎える… 本戦当日は8時から車検があり、6時には最終チェックを済ませる… 車検も問題なく通り、燃料を満タンにしピット内のクイックチャジャータンクも満タンに… 昼近くのスタートになるので、それまで自分は仮眠する。 前座レースも終了し、車両をコース内まで押してグリッド位置へ… この頃からドライバー、スタッフの口数も減り緊張感がある中、自分は他のチームドライバーに挨拶を…というか、プロドライバーをミハー気分で会いにいって、自分だけテンション高かった… ツーリングカーレースといっても、ワークスチームもいる…車両クラスも多様なレース。 なにはともあれ完走が目標である。 今日は曇り空、雨も降るという予報…ピットではレインタイヤの用意もして、スタートを見守る… 1コーナーへの進入時も他車との接触もなく、まずまずのスタート… 5時間耐久レースでドライバーは3人…50分~1時間半でのドライバーチェンジ…スポンサードライバーの二人は、短めの走行で… スタートから3時間半…タイヤの消耗も気になる時間帯だけど、ノントラブルできた… 曇り空の雲が暗く重く…そろそろ泣き出しそうな空になってきた… ピット内では、レインタイヤの交換準備…もう2ラップでドライバーチェンジ…この時にタイヤを交換… だが…戻ってこない…ピットインのサインボード構えて待っていたスタンド前…もう平均周回ラップタイムを刻々と過ぎていく… 無線も繋がらない… 何かトラブルが合ったに違いない…タワーにゼッケン36番の車両の状況を確認する。 最終コーナー手前のシケインでコースアウトした様だ! シケイン近くから無線でドライバーに確認したところ、スターターモーターが回らず、エンジン再始動不可だとか… 「スターターモーターが回らない…」それを聞いて自分が作業した行程を思い浮かべ確認する… クラッチとミッションの点検でミッションを下ろした時にスターターモーターを外す… 取り付ける前に、スターターモーターの単体作動点検はした…が取り付けは、他のメカさんに頼んだ…その時、最終点検はしなかった…エンジンの始動は問題なくできたし… ボンネットを開け、エンジンルームを覗き込むドライバー…しかし何をどうすればなんて解るはずもなく… ヘルメットを外し、リタイヤ届けにサインをする…5時間耐久レースで4時間走ることはできなかった… 国際ツーリングカー耐久レース INTER TEC 1986 結果 レース終了まで、なにもできずピット内を片し、シケインで動かなくなった車両を観に行く…チームのみんなに申し訳ないと思う気持ちに潰されそうだった… レース当日にテレビ放映された動画があった...レース時間で 4:14' を経過したときの画像で、ボンネットを開けてシケインでコースアウトしている黒いAE86...リタイア... レースも終了し、コース内に置き去りにされていた車両が、レッカーでピットまで戻ってきた… ボンネットを開け、スターターモーターの点検をする…目視で原因が解った…バッテリーからの+B電源端子の緩みだった… ただ単に端子の締め忘れか?…取り付けてあった配線の固定クランプが…無い…硬く太い配線で車両、エンジンの振動で緩まぬように、気を使って増設しておいたはずのクランプ、取り付けの際に忘れられたようだ… 10数名で挑んだレースだったけど、初対面が4名、メカは自分と初対面の内の2人…技量など解らず、自分も若かったし、名上の人に指図もできず… 預かった車を他人任せにして確認を怠った自分に呆れ…悔いの残るレースになった。 このレースを最後に、サーキットへ同行してのサポートは辞めた... 部屋のかたずけをしていて、アルバムが出てきたのでネタにしてみた…昔々の話でした…
by makkuroGS
| 2014-08-03 23:04
| Long long a go...
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Comments(2)
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